WEST SIDE STORY
ウエストサイドストーリー
2004年7月2日-8月5日 青山劇場
2004年8月9日-16日 フェスティバルホール

2004年12月5日-30日 青山劇場
2005年1月4日-9日 大阪厚生年金会館
演出: ジョーイ・マクニーリー Joey McKneely
原案・振付: ジェローム・ロビンズ Jerome Robbins
音楽: レナード・バーンスタイン Leonardo Bernstein
脚本: アーサー・ローレンツ Arthur Laurents
歌詞: スティーブン・ソンドハイム Stephen Sondheim

CAST
[ジェット団 JETS]
リフ 錦織一清(04夏) 大野智(04-05冬)
トニー 東山紀之(04夏) 櫻井翔(04-05冬)
アクション 赤坂晃(04夏) 生田斗真(04-05冬)
Aラブ 生田斗真(04夏) 山下翔央(04-05冬)
ベイビー・ジョン 東新良和
ビッグ・ディール 佐々木重直
タイガー 青山航士
ディーゼル 佐々木誠
スノーボーイ 薗部裕之
ギー・ター 後藤健流
マウスピース 安江友和
アイス 澤地孝博

[ジェット団の女たち]
グラツィエラ 鈴木智美
ヴェルマ 徳永由貴
クラリス 瑠菜まり
ポーリーン 水木加陽子
ミニー 吉原彩香
デロリス 汐夏ゆりさ
エニバデイーズ 谷絵利香

[シャーク団 SHARKS]
ベルナルド 植草克秀(04夏) 松本潤(04-05冬)
チノ 佐藤アツヒロ(04夏) 風間俊介(04-05冬)
ペペ 中村元紀
インディオ 島田裕樹
ルイス 横山敬
アンキシャス 長内正樹
ファノ 下道純一
トーロ 前恵治
ニブルス マイケル(04夏)
ムース 蛯名孝一
ミゲール 奥山寛

[シャーク団の女たち]
マリア 島田歌穂(04夏) 和音美桜(04-05冬)
アニータ 香寿たつき(04夏) 天勢いづる(04-05冬)
ロザリア 宮菜穂子
コンスエロ 松本菜穂
テレシータ 紀元由有
フランシスカ 柳田陽子
エステラ 山本沙奈子
セリーナ 水野江莉花
マルガリータ シルビア・グラブ

[大人たち]
ドク 斎藤晴彦
クラプキ巡査 長江英和
グラッド・ハンド 迫英雄
シュランク警部補 渡辺哲

MEMO

 初演から50年以上を経てなお「ミュージカルの金字塔」と呼ばれ続けている大作中の大作。演出のジョーイ・マクニーリーさんは原案・振付のジェローム・ロビンズ最晩年の愛弟子でした。この作品は振付に関して一切の変更が認められていないことでも知られ、複雑で緻密なステップは巨大なジグソー・パズルのよう。
 ストーリーはよく知られているように『ロミオとジュリエット』を現代のニューヨークに置き換えたものですが、具体的な設定は、1955年、ニューヨークの下町で起きた青年ギャングたちの暴力事件にヒントを得たといいます。55年当時、ロビンズ、作曲のバーンスタイン、脚本のアーサー・ローレンツは37才、「4人目の作者」スティーブン・ソンドハイムはなんとわずか25才! 現在の巨大ビジネスと化したブロードウェイではこんなことは有り得ないそうですが、あの作品の人の心を刺すような激しさ、純粋さはそんな若い作者たちによってしか創り上げることはできなかったでしょう。
 当時の興奮を記録するように、バーンスタインはWSSの構想を練っていた時期の日記の中で、「オペラ的な手法に陥らずに、ミュージカルの言語だけで、ミュージカルの技術だけを使って悲劇を創りあげる」と書いています。「僕達に出来るだろうか? まだこの国にそんなものはない。心が騒ぐ。もしも出来たら-それが最初になるんだ。」バーンスタインは、ヨーロッパの物まねではない、初の「アメリカのオペラan American opera」として書きあげる、とも記していますが、それが現実になったことは誰もが認めることでしょう。
 初演時に放映された特別番組を今見直してみると、青山さんの目の鋭さやたたずまいが、どこにもやり場のない激情を抱えた獰猛さにあふれていて、この作品の求心力を思い知らされます。青山さんは全篇を通して主要なパートを担当されましたが、映画版では数人が分担しているパートですので、技術はもちろん、その集中力の高さも想像を絶するものがありました。中でも映画版にはない"バレエ・シークエンス~Somewhere"のソロはあふれる躍動感と痛いほどに繊細な抒情性の交点を示して素晴らしかったです。





 青山さんに好きな演出家を尋ねたところ、グレン・ウォルフォードさんとともに名前が挙がったのが、この作品を演出したマクニーリーさんです。お茶会で聞いたお話では、仕事ぶりは凄まじいほどストイックで、毎朝必ず、まずヨガで日常と自分を切り離し、そのあとはクラシックのバーレッスンを一通り、それから稽古という日課が課せられたとか。
 精神的にも演者の気持ちを逆なでし、追い詰めるやり方で、リハーサル中にも耳元で挑発的な言葉をかけてきたりして、青山さん曰く「内臓をつかんで引っぱり出して床にたたきつけるような」演出だったそうです。
 初演時に放映された特別番組でも、すべての出演者たちの顔に、近寄りがたいような緊張がありましたが、その理由がわかったような気がしました。『ウエストサイドストーリー』上演に際しては8週間のリハーサルが必須条件なのだそうですが、精神状態をも含む作品世界の構築にはそれだけの時間がかかるということなんでしょうね。
 でもこういう時はアドレナリンが出るのか、青山さんたちはそんなリハーサルの帰りに更にティップネスに行ってトレーニングしたりしたそうです。とても信じられないエピソードですが、世界中を魅了してやまない、あの作品だけが持つ魔力のようなものがきっとあるんですね。
 ジェローム・ロビンズの伝記には、演出をうける若き日のマクニーリーさんの写真が掲載されています。完全主義者で知られたロビンズの直弟子と呼ばれるにふさわしいマクニーリーさんの厳しさは、ブロードウェイでもワールドツアーでもこの作品の生命をつないでいます。このカンパニー、もう一度目にしたいものです。