RUDOLF The Last Kiss
ルドルフ ザ・ラスト・キス
2008年5月6日-6月1日 帝国劇場 

音楽: フランク・ワイルドホーン Frank Wildhorn
脚本・歌詞: ジャック・マーフィー Jack Murphy
追加歌詞: ナン・ナイトン Nan Knighton
編曲: キム・シャーンバーグ Kim Scharnberg
追加編曲: クン・シューツ Koen Schoots
原作: フレデリック・モートン Frederic Morton
      "A Nervous Splendor: Vienna 1888-1889"

演出: 宮本亜門
音楽監督: 八幡茂
振付: 上島雪夫
装置: 松井るみ
照明: 高見和義
衣装: 有村淳

指揮: 塩田明弘

CAST
ルドルフ  井上 芳雄
マリー・ヴェッツェラ 笹本 玲奈
皇太子妃ステファニー 知念 里奈
ラリッシュ 香寿 たつき
ヨハン・ファイファー 浦井 健治
ツェップス(ウィーン日報編集者) 畠中洋
英国皇太子エドワード 新納 慎也
プロイセン皇帝ウィルヘルム/カーロイ 岸 祐二
ブラット・フィッシュ 三谷六九
オーストリア首相ターフェ 岡 幸二郎
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ 壌 晴彦

ショップ・ボーイ/貴族/独立運動の同志 青山航士
マイスナー(諜報部員)/ショップ店長/男性客 乾あきお
伝令官/貴族/若い男 小野田龍之介
乞食/市民 小原和彦
男性客/乞食/市民 笠嶋俊秀
画家/貴族/市民 後藤晋彦
貴族/市民/男性客/独立運動の同志 杉山有大
ローニャイ/護衛 砂川直人
ブラガンツァ公爵/貴族 谷口浩久
貴族/男性客/市民/独立運動の同志 中井智彦
アンドラーシ/護衛 中山昇
貴族/市民/ウィーン日報のスタッフ 原慎一郎
ヴィリグート(諜報部員)/貴族 ひのあらた
貴族/ウィーン日報スタッフ 松原剛志
ショップ・ボーイ/貴族/独立運動の同志 横沢健司
ヘルマン/従僕/バーテンダー 横田大明
貴婦人/娼婦/市民 飯野めぐみ
娼婦キャサリン/貴婦人/娼婦 家塚敦子
ショップ・ガール/貴婦人/娼婦 岩崎亜希子
娼婦ソフィ/貴婦人/市民 樺島麻美
貴婦人/乞食/市民/オーストリア皇后エリザベート 栗山絵美
マリーの妹ハンナ/貴婦人/市民 黒川鈴子
レディ/貴婦人/娼婦 後藤藍
娼婦ミッツィ/貴婦人/市民 史 桜
貴婦人/娼婦/市民 谷合香子
ショップ・ガール/貴婦人/娼婦 中山旦子
レディ/貴婦人/娼婦 森実由紀
怪我をした女/貴婦人/娼婦 やまぐちあきこ

MEMO

 世界初演は2006年ハンガリーですが、アメリカの作家フレデリック・モートンの"A Nervous Splendor"を原作に、『ジキル&ハイド』の作曲者として知られているフランク・ワイルドホーンが音楽を担当しています。
 アメリカ製で初演ハンガリー、というのは珍しいケースだと思いますが、ストーリー設定の1888-89年当時、オーストリア帝国の支配下にあったハンガリーでは、ルドルフを皇帝として革命を起こす動きがあったそうです。ハンガリーの人たちにとって特別な思い入れのある人物なんでしょうね。モートンの談話や評論を読んだ限りでは、ミュージカルは原作とはかなり違った、ハンガリーの視点から見たハプスブルク家の黄昏、という内容だったようです。
 ちなみにモートン氏は一貫して国や文化によってそれぞれの解釈があっていい、という立場でこのミュージカル化にかかわったそうで、日本版は宮本亜門さんが80%ほど書き換えた、と伝えられました。ただでさえなじみの少ない東欧史の、最も複雑な政治的状況を背景にするのですから英断ですよね。
 ルドルフという人物は本当に人気があって、ヨーロッパには「マイヤーリンク・マニア」といわれる人たちがいるそうです。悲恋の末に亡くなった皇太子、というだけではなく、彼の抱いていた理想に民族の尊重・自治独立があり、もしも彼が即位していれば、その後ヨーロッパを侵すナチスの台頭を阻めたのではないかという想いと一体なのだそうです。くしくもルドルフが絶命した1889年、この世にヒットラーが生まれました。





 翻訳ものというよりオリジナル作品といえそうな宮本版『ルドルフ』、話題のひとつに「ワルツ」の一般的なイメージを覆すような、危うい高揚感にあふれる「四次元の舞踏会」シーンがありました。貴族に扮した青山さんが競技ダンスのようなスピードで文字通り「円舞」する姿は、幻惑的な舞台効果とあいまって本当に目が眩むように艶やかでした。
 当時、新しいダンスとしてオーストリアの若い層に一気に広まったワルツは、男女がパートナーを次々と変えながら接近して踊る、とても扇情的な踊りと受け止められていたそうです。社交ダンス的なイメージしか持っていなかったので、そうした熱情が感じられるワルツを目にするのは新鮮な驚きでした。イギリスやアメリカのように近代的な躍進を遂げられなかった、旧態依然としたオーストリア社会への青年たちの焦燥や不安のはけ口だったのかもしれません。
 また、ハンガリー独立への革命家たちの熱い思いは男性アンサンブルの旗を持ったダンスによって表現されましたが、セリフで説明されるよりも、宮廷シーンとはトーンのまったく違うダンスが入ることで、対立関係がよくわかりました。こちらは帝国に対するハンガリー民族の敢然とした闘志を感じさせるダンスで、青山さんが『ルドルフ』公式ブログで「旗に魂が乗り移るように」と語っていたのが思い出されます。
 そのほかにもショップボーイ役では往年のミュージカル映画に通じるコミカルな動きで楽しませてくれ、ターフェ首相のソロ曲では民衆の苦しい境遇をマリオネットの動きで表現し、ドイツ主義者に扮しては乱闘シーン ・・・。 改めて書き出すとそんなに多様な表現をしていたのかとびっくりしてしまいますね。
 その七変化ぶりを伝える舞台写真がないのがとても残念なんですが、なんとフランク・ワイルドホーン氏の公式サイトに日本公演の舞台写真が掲載されています。しかも全4枚のうち1枚は「四次元の舞踏会」で青山さんを先頭に貴族たちが登場する場面なんですよ♪ 仮面をつけた場面で顔は見えないけれど、雰囲気の伝わる素敵な写真ですので是非みなさんご覧ください。
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