ME & MY GIRL ミー&マイガール
2009年6月3日-28日 帝国劇場
2009年7月4日-15日 中日劇場

作詞・脚本: L.アーサー・ローズ&ダグラス・ファーバー
        L. Arthur Rose & Douglas Furber
作曲: ノエル・ゲイ Noel Gay
改訂: スティーブン・フライ Stephen Fry
改訂協力: マイク・オクレント Mike Okrent

翻訳: 丹野郁弓
訳詞: 高橋亜子
演出: 山田和也

音楽監督: 佐藤俊彦 / 歌唱指導: 北川 潤
振付: 玉野和紀 / 装置: 太田創 / 照明: 高見和義

音楽監督補・指揮 塩田明弘

CAST
ビル・スニブソン 井上芳雄
サリー・スミス 笹本玲奈
ジャッキー 貴城けい / ジェラルド 本間憲一
執事チャールズ 丸山博一 / バーチェスター弁護士 武岡淳一
ジャスパー・トリング卿 花房 徹 / バターズビー卿 阿部 裕
ミセス・ブラウン 伊東弘美 / バターズビー卿夫人 福麻むつ美
公爵夫人マリア 涼風真世
ジョン卿 草刈正雄

ゲスト・料理人・フレンチ卿・先祖 谷口浩久
ゲスト・家令・バーマン・スタンリー卿・先祖・巡査 乾あきお
ゲスト・従僕・ゴート卿・先祖 杉山有大
召使・従僕・リンカーン卿・先祖 山崎義也
ゲスト・ランベスの仲間・先祖・恋人 加賀谷一肇
メイド・ゲスト・ブライトンの娘 黒川鈴子
ゲスト・ランベスの仲間・ランベスの恋人 後藤藍
ゲスト・料理人・ソフィア・ランベスの母親 鈴木智恵
ゲスト・料理人・シンメル夫人・娼婦 園田弥生
メイド・ゲスト 大澤 恵
従僕・召使・先祖・郵便屋 折井洋人
メイド・ゲスト 真田慶子
ゲスト・ランベスの仲間・先祖・果物売り 青山航士
ゲスト・メイド・子供 小野瑛世
メイド長・ランベスの洗濯女 玉置千砂子
鎧・ゲスト・ディス卿・召使・先祖 諏訪友晴
召使・従僕・先祖・労働者 坂元宏旬
メイド・ランベスの仲間・ゲスト 木村晶子
ゲスト・露天商のチャンピオン・先祖・煙突掃除夫 佐々木誠
ゲスト・露天商のチャンピオン 森実友紀
ゲスト・料理人・ダミング卿夫人 秋山千夏
ゲスト・メイ マイルズ 岩崎亜希子
ゲスト・セリアウォーシントン 小石川園美
警官・ゲスト・ダミング卿・先祖・煙突掃除夫 安倍康律
召使・従僕・ゲスト・先祖 高原紳輔
ゲスト・ランベスの仲間・先祖 橋本好弘
ゲスト・ウォルフレッド卿・先祖・労働者 白石拓也
ゲスト・料理人・ピアニスト・先祖 永野拓也
召使・従僕・ゲスト 横田大明
ゲスト・ランベスの仲間 中村沙耶
ゲスト・シェフ・先祖・ボブ 川口竜也
ゲスト・ウィルフレッド卿夫人・ランベスの子供 中村友里子
ゲスト・料理人・ディス卿夫人 磯貝麗奈
メイド・ゲスト・スマイ夫人・ランベスの洗濯女 石井 咲

MEMO

 1937年12月、ロンドン、ウェストエンド初演。開幕から大人気で、ヨーロッパ中がランベス・ウォークに夢中になり、バッキンガム宮殿でも国王夫妻の前で披露されたといいますから、今からは想像がつかないほどの熱狂だったんでしょう。39年には当時としては珍しいことにテレビ放映までされたそうです。
 1937年ってどんな年?と探してみたら、ピカソの『ゲルニカ(1938)』に描かれているドイツ空軍によるゲルニカ爆撃や、南京事件が起きています。暴力による支配が広がりつつあった頃、こんなにも明るく市民の活力に満ちた作品を劇場にかけた演劇人たちの気概を感じますね。また、戦中には英国情報省がナチスの映像をまるでランベス・ウォークを踊っているように編集し、ニュース映画として配給しました。いかにもイギリスらしいこの強烈なブラック・ユーモアは、ドイツ将校を激怒させたそうですが、この作品が不穏な空気の流れるヨーロッパの人々に元気を与えられる存在だったことが伝わるエピソードです。
 第二次世界大戦によって途切れた上演が復活したのは1952年、そして86年にはブロードウェイでリバイバル上演されて、87年トニー賞の主演男優賞、主演女優賞そして振付賞を受賞しました。さらに06年にはロンドンでは70周年記念公演開催、と長い作品生命をつないでいます。
 ビルとサリーの町、ランベスはテムズ川南岸、ロンドンシティのほぼ対岸で、30年代当時も今も庶民パワーあふれる地域です。初代ビルのルピノ・レインはこの町に住む役者一家に生まれた正真正銘のランベス・ガイで、ビル役には彼自身を投影した部分があったそうです。戦争で活躍の場を失い、晩年は劇場経営に行き詰るなど、けして順風満帆の人生ではなかったようですが、70年を経てなおランベス・ウォークで客席いっぱいに微笑みが広がるのを見れば、彼の役者魂もきっと満足していることでしょうね。





 『ミー&マイガール』といえばタップですが、6月の帝国劇場公演中に開かれたお茶会での青山航士さんの「タップは苦手」発言にファン一同びっくりでした。舞台を見ていても全くそんな感じはないんですが、ジャズダンスやバレエなど脚に力を入れる踊りを学んできた青山さんにとって、脚/足の力を抜いて踊るタップは勝手が違うとのこと。この作品のために集中してレッスンをしたというお話でしたが、今思い出しても「本当に苦手?」というくらいきまっていましたよね。
 そしてもうひとつ、『ミーマイ』といえばランベス・ウォークです。この場面は客席も参加して盛り上がる演出なので、毎回開演25分前にオーケストラのメンバーと青山さん達による「ランベス講座」が始まりました。ロビーから客席、舞台へと移動する出演者を追いながら観客は着席し、いつの間にか開幕の準備ができて・・・という演出が楽しかったですね。劇中のランベス・ウォークでも青山さん@ランベスガイはひたすらカッコいいうえに、仲間が組んだ腕から反動を使って豪快な開脚ジャンプ。あまりに高く大きく飛ぶので客席に「おお〜〜」っというどよめきが広がりました。
 また、ヘアフォード家でジャッキーをめぐって踊る、椅子を使ったダンスは最高に洗練されて素晴らしかったです。今の流行とは違いますが、オーソドックスなパンツにベストという衣裳が、腰の高い青山さんには本当によく似合い、「貴族の子息」という役にぴったりの端正な動きがますます際立っていました。
 一転してランベスの町で果物売りに扮して踊るダンスは、同じように軽やかで質が高くても、ちゃんと下町の若者らしいラフな表情なんです。踊りがその人と成りを雄弁に語る演技になっていて、魅力的でしたね。
 それとヘアフォード家のご先祖様役なんですが、お茶会でのお話ではリンカーンのイメージで役作りされたそうです。東宝の『ミー&マイガール』公式ブログで涼風真世さんは持ち役の「エリザベートの時代のご先祖様」と書いておられましたね、なるほど〜。ただ、あの兵隊の行進のように片脚をのばして前方にビュンと振り上げる動きは、比較的長い曲のあいだ中ずっと何回も振り上げないといけないので、失敗したと思ったそうです。だけど曲の拍の強いところに合わせた、楽器で言うならバスドラムみたいな役割りをする、とても印象の強い動きでした。あの振りがなかったら威圧するようなご先祖様のパワーが感じられず、シーン全体の後味が少し薄くなるような気がします。毎回大変だったと思いますが、効果はばっちりだったんじゃないでしょうか♪