The Show EXTENSION!!
エクステンション!!
2011年11月9日-12日 前進座劇場
作・演出・振付: 神崎順

CAST
川崎麻世・瀬戸内美八・島田歌穂・高嶺ふぶき・えまおゆう
原田優一・津田英祐・神崎順・紅・鳴海じゅん
五条まい・天勢いづる・青山航士

上野聖太・水月舞・村井麻友美・雪菜つぐみ・舞名里音・草風なな

吉川泰昭・TanBA・有薗啓剛・龍美・玉手みずき・斎藤綾子・本庄千穂

ミス・サリバン・清水あつこ・杉山奈央・田代迪子・小山梨奈・船越英里子・穂積渚・海出彩菜・萩原雪乃・石川泰彦・武市悠資・杉山慶輔・東映剣会(木下道博・木村康志・本山力・柴田善行)
(敬称略)

MEMO
 約500席、花道もしつらえられ、どの席でも臨場感が大きい前進座劇場。被災地に何度も足を運んでおられる座長の川崎麻世さんの筆による「希望」の二字を掲げたオープニングから、舞台は夢を見失いかけていた少女の心の旅物語という設定で、ニューヨーク、ハワイ、ラスベガス/ハリウッド、パリ、リオを駆け巡ります。
 色とりどりの艶やかな衣装があふれる舞台で、シックな黒の世界を描いたのが、ニューヨーク編の"All That Jazz"です。鬼才ボブ・フォッシーの永遠の名作で、青山さんの代表的出演作品『CHICAGO』のオープニングナンバーですが、えまおゆうさん、原田優一さんと青山さんの三人がオリジナルとはまったく違う振付で魅せてくれました。
 フォッシーは「オリジナルとは違うものを創造すること」を条件に作品を愛弟子たちに継がせたと聞きますが、短い準備期間だったにも関わらず、青山さんがこの舞台で見せてくれたものも、フォッシーのエッセンスを充満させた「創作」だったことが、一観客としてとても嬉しいことでした。
 続くガーシュイン・ナンバー"I've Got a Rhythm"の青山さんは、フォッシー・スタイルとはまったく異質の、スタッカートとシンコペーションの化身のように軽快で正確なステップを披露してくれましたが、これほど洗練されたジャズを踊れる人は本当に少ないんじゃないでしょうか。バーンスタイン、ロビンズ、フォッシー、そしてガーシュインとブロードウェイの巨人たちの作品をすべてレパートリーとして持つ青山さんの技術の高さ、音楽性の豊かさを堪能できるシーンで、今もよく思い出します。
 また劇中、夢の案内人としてラスベガスで活躍中のパフォーマー、国際試合を制した競技者の方々が出演されましたが、なんの説明も紹介も必要としない高い技術に歓声が上がり、大きな拍手が贈られたのも、メインキャストにばかりスポットが当たることの多い日本では珍しいことだったのではないでしょうか。
 大資本によって周到に準備されるプロジェクトも素晴らしいけれど、観客の望むもの全てがそこに収まるのではない、ということが見て取れる舞台でもありました。華やかさを控えることが良しとされる時期に、ひとつひとつ手作りで願いを込めて創り上げられた舞台には、創り手の真心が何よりも眩く輝いていたように思います。

*各シーンの青山さんのパフォーマンスについてはブログ「青山航士を応援する会」の記事をご覧ください。
オープニング~ニューヨーク編
ハワイ編
ラスベガス(ハリウッド)編
パリ~リオデジャネイロ編
追憶~Day By Day編
フィナーレ
 




 2011年3月11日の東日本大震災という大きな困難に思いを寄せながら開幕した『EXTENSION!!』。歌とダンス、そして華やかな衣装をふんだんにちりばめた舞台には、全てを覆い尽くすような悲しみと喪失を前にしてエンターテインメントには何ができるのか、と真摯に考え抜いた舞台人の誠実さが至る所に感じられました。
 千穐楽の挨拶の中で作・演出の神崎順さんが語った「このショーを東北に、そして世界中の色々なところで辛い境遇にある人たちに届けたい」という想いに、私達観客は満場のスタンディングオベーションで応えるしか出来ませんでしたが、舞台と客席があれほど温かく一つになった瞬間を私は見たことがありません。
 そしてその言葉通り、公演終了後すぐに「次」に向けて準備を進めておられる様子が神崎さんの公式サイトから伺え、その気概に心が打たれます。行きたいところ、伝えたい思いがあり、見せたい人がいる『EXTENSION!!』というショーが、一人でも多くの人の目に触れることを心から願わずにはいられません。

 東北には、ETV『うたっておどろんぱ!』の青山さんを見て大きくなった小中学生、またファンなのに公演を見る機会がない、という方がたくさんおられます。東北への思いとともに生まれた舞台『EXTENSION!!』に青山さんが出演したことを東北の方たちにお知らせしたくて、このページを書きました。
 そして、放映当時と同じように、研ぎ澄まされた肢体を駆使して「こーじおにいさん」が生命力いっぱいに表現する舞台が、いつか東北へ行く日が来るように、ファンに出来ることをしたいと思っています。