DESPERATELY SEEKING SUSAN
スーザンを探して
2009年1月6日-3月5日 シアタークリエ

演出・翻訳・訳詞: G2
音楽監督・編曲: 鎌田雅人
振付: 原田 薫
美術: 松井るみ
照明: 高見和義

CAST
ロバータ 保坂知寿
スーザン(Wキャスト) 真琴つばさ 香寿たつき

デズ 加藤久仁彦
ジェイ 吉野圭吾
コング桑田 アレックス
マリア、ジーナ 藤林美沙
ティナ、マミーズのギター
 馬場 徹

レスリー 杜けあき
ゲリー 山路和弘

シーラ、ウェイトレス、ジェニー 今枝珠美
タラ、ウェイトレス、女看守、受付嬢 荻野恵理
クリスタル 小此木麻里
ヴィッキー、トリックス、フロー、エジプト大使 小嶋亜衣
レイの助手、運転手、マミーズのドラム、DJ 青山航士
ボーイ、フリッツ、DJ 上口耕平
ヴィト、レイ、シャノン 倉田英二
ブルース、露天商、警官 町田正明
ラリー 横山敬

MEMO

 マドンナが出演した映画『スーザンを探して』(1985)をベースとした2007年ロンドン発のミュージカル。
 映画の企画段階では駆け出しだったマドンナが選ばれたのは、スーザン・シーデルマン監督の「新人起用」方針と500万ドル以下の予算の都合上だったそうです。またスーザンの恋人・ジェイ役のオーディションには3年後『ダイ・ハード』で一躍スターとなるブルース・ウィリスの名前もあったとのこと、今この二人が共演するとしたら一体どれぐらいの予算を計上するんでしょうね。
 さて、ミュージカルの音楽を担当したのはイギリスで絶大な人気を誇るプロンディです。ボーカルのデビー・ハリーはかつてはパンク界のマリリン・モンローと呼ばれていましたが、同じくモンローを強く意識したスタイルで世に出たマドンナと共通する印象を受けます。
 残念ながら2か月でクローズとなったロンドン版を一新して、日本版は演出・美術・振付など、音楽以外はオリジナルな仕上がりになりましたが、とくに配役が良かったと思います。予算的に無理でしたが、シーデルマン監督の希望ではダイアン・キートンが演じる予定だったロバータ役に保坂知寿さん。映画版よりロンドン版より、日本版がもともとのイメージに近い選択をしたと思いますし、またスーザン役を宝塚の元男役スターの真琴つばささんと香寿たつきさんがダブルキャストで、というのも名案だったと思います。マドンナの強烈なイメージにも負けない人選は他には考えられないですよね。当初レスリー役に予定されていた、やはり元男役スターの大浦みずきさんの訃報がこのページ作成中に届いたことは残念でなりません。代わって登板となった杜けあきさんも元男役スターで、日本にしかない男役という華の、どこか中性的な部分が舞台という虚構に必要な非日常の美を与えてくれるような気がします。
 ちなみにブロンディのプロデューサーのマイク・チャップマンは男装の美人ロッカー、スージー・クアトロを世に出した人です。日本版キャストの面々を見たら放っておかないかも?





 この作品の青山航士さん、クレジットでは4役記録されていますが、実際にはこれに冒頭の黒の革ジャンの男性、ダンスシーンで殺し屋アレックスの仲間、ティナのパーティーのゲスト(それともあれは"DJ"のプライベートタイム?)もあるので本当に7変化でした。
 どれも素敵でしたが、特に青山さんがドラムを務めた劇中ライブのバンド・マミーズはなんとスペシャルイベントが開催されるほど劇中ブレイク(?)しました。
 イベントは平日昼公演後ながら大盛況、劇中の「ハンギング・オン・ザ・テレフォン」に加えて「サンデー・ガール」も、大きな開脚ジャンプと一緒に披露され、はては「普通の男の子に戻る」と涙の解散宣言から再結成まで、と盛りだくさんの内容でした。それが公式ブログで動画配信もされて、本当に楽しかったですね。 この役のために始めたとはとても思えないパワフルなドラミングに、ファンは嬉しいやら驚かされるやら、その後も趣味として自宅で練習されているそうですが、いつかまた聞かせてもらえる機会があるでしょうか。
 また一幕終りの 「ラプチャー」では、同じくDJ役の上口耕平さんとのデュオでラップを踊るシーンがあり、本当に密度が高くて素敵でした。プロンディはこの"Rapture" で、ラップ・ミュージックを取り込んだ曲を初めて全米チャート1位にランクさせ、ラップの先駆け的存在となったそうですが、その洗練されたサウンドに青山さんのように作品としてラップを踊ることができる人がちゃんと巡り合うなんて、時代を作った作品にはやはり吸引力があるようです。