THE BOY FROM OZ
ボーイフロムオズ
2005年6月10日-6月27日 青山劇場

2006年10月28日-11月6日 青山劇場
2006年11月23日-26日 大阪厚生年金会館 芸術ホール

2008年10月5日-14日 青山劇場
2008年10月23日-26日 シアターBRAVA!

演出: フィリップ・マッキンリー Philip WM. McKinley
振付: ジョーイ・マクニーリー Joey McKneely


CAST
ピーター・アレン 坂本昌行
ライザ・ミネリ 紫吹淳
グレッグ・コンネル IZAM
ディー・アンソニー
 &ディック・ウールノー 団時朗
マリオン・ウールノー 今陽子

ジュディ・ガーランド 鳳 蘭

ヤングピーター 西川大貴/リトルピーター 吉井一肇, 鯨井未呼斗
後藤宏行/青山航士/紀元由有/松原剛志/佐々木誠/横山敬/赤羽根沙苗/斎田綾/柳田ようこ/中村元紀/井波知子/安倍康律/安中淳也(05.06)/島村江美/上野聖太(05.06)/鈴木祥高(05.06)/林久美子(05.06)/谷合香子(05.06)/本田育代/菅原さおり/河野悠里/小牧祥子(08)/原慎一郎(08)/ゆずな(08)/氏家忠明(08)/鈴木彰紀(08)

MEMO


 70年代後半から80年代にかけて、アメリカのポップス界を代表するシンガー・ソング・ライター、ピーター・アレン(1944-1992)の生涯を描いた作品。ブロードウェイではヒュー・ジャックマンがピーター・アレン役を演じ、2004年トニー賞主演男優賞の栄冠に輝いた大ヒット作です。
 きらびやかなアメリカのショービジネス界とともに、太平洋戦争による兵士のPTSD、ドラッグ依存, ゲイ解放運動、猛威をふるったエイズ・・・とピーターと当時の社会とのかかわりも繊細に描かれ、エンターテインメントとしても一つの戯曲としても魅力にあふれた作品だと思います。脚本のマーティン・シャーマンは残念ながら受賞は逃がしましたが、トニー賞脚本賞にノミネートされました。
 ピーター・アレン、といってもピンとこない人でも、日本でCMソングにも使われた"Arthur"s Theme"はきっとご存じだと思います。作品のロゴにはピアノがデザインされていましたが、彼とピアノは切っても切れない関係でした。母マリオンの回想によると、少年時代のある日、母の友人の家をたずねたピーターは、所在なくその家のピアノのあたりをうろうろとしていたそうです。そして母親たちがしばらくおしゃべりしていると、突然ピーターがそれまで習ったこともないのに、当時の流行歌を一曲、両手で引ききったのです。驚きながらも、息子の才能を見出したマリオンは、アルコール依存症の夫を抱え決して豊かとはいえない経済状態の中、ピーターをピアノとダンスのレッスンに連れて行くようになったとか。
 ピーター・アレンと言えばジュディ・ガーランドとの出会いによって運をつかんだシンデレラ・ボーイといわれていたようですが、彼の才能を見出し、ありったけの愛情ではぐくんだマリオンの存在は、彼の音楽人生の、不動の支えであったに違いありません。マリオン役の今陽子さんのソロ曲「泣かないで」には、そんな尽きることのない愛情が象徴されているように思えました。





 青山航士さんにとっては04年の『ウエストサイドストーリー』に続いてJ・マクニーリーさん振付作品。日本初演時には特別番組がテレビ放映されましたが、その中でマクニーリーさんご本人から日本版振付のほうがいいと思う、と語っていました。
 確かに、05年の時点ではブロードウェイ版の公式サイトでハイライト曲の映像が見られたんですが、そのなかにライザ・ミネリのエミー賞受賞作品"Liza with a Z"のワンシーンを模した「音楽を聞くのが好き」があり、日本版のほうがオリジナル振付のボブ・フォッシーの感じを強く出していたと思います。
 このシーンのフォーメーションから今では当たり前のように青山さんと佐々木誠さんを「2トップ」と呼んでいますが、お茶会のこぼれ話では「自分たちから言い出した」というトリビアが。ミュージカル界の流行語大賞があったら絶対入賞していますね。
 マクニーリーさんの振付はWSS同様ハードで厳密で、手の角度、足の角度ひとつひとつにこだわりがあるのだとか。「音楽を聞くのが好き」のおろした両手を左右に返す手の角度も決まっていて、わずかな違いも許されなかったそうです。特に「ラブ・クレイジー」は、衣裳が超ミニ並みのショートパンツなので、足の動きがよくわかり、容赦ないチェックが入ったとか。あの最高に楽しい曲の、満面の笑顔の裏にはそんなシビアな積み重ねがあるんですね。